KKP♯4「レンズ」

小林賢太郎プロデュース公演♯4「レンズ」の多少のネタバレ込み感想です。本サイトで書いたものを加筆訂正したので、そちらを1回読んだ方は内容の重複がありますのでご注意下さい。
見に行く前から喜劇+推理ものだと知っていたので、ラーメンズの「採集」の様な雰囲気を期待していたのを思い切り期待値を落として行きました。大正設定と聞いた時から江戸川乱歩的ドロドロ世界を楽しみにしていたのに…それは期待のし過ぎですね。
まず、話や登場人物に関連する色々を。話自体は犯人が分かっている推理小説を読んでいる感じでした。比較的あっさり解ける程度でしたし。絶対謎解きではなくストーリーを中心に見るべきだったのだと思いますが、ミステリ好きとしては謎があったら解きたいのです。次に見る機会があれば是非ストーリーを中心に見たいですね。「こんな推理小説書かないでしょう」と天城に言わせていましたがじゃあ書くな、実は美味しいとか思ってる癖にと心の中で突っ込ませて頂きました。
劇としては今迄で一番纏まっていたと思います。これは私が演劇を見慣れていないのが悪いのだと思いますが、舞台に沢山の人が出ていると何処を見たら分からなくなってしまいます。主な動きをしているのが2.3人だとしても周りで面白い事をやっている人がいるし(KKPで言う所の久ヶ沢さん)、それだけでも眼球運動が半端ではない。今回は人数が減った所為か見易かったし、締まった気もしました。ミステリ仕立ての所為で起承転結も自然と出来て纏まったいたし。まあそれは良い意味でも悪い意味でもですが。小林賢太郎のどこへ落ちが転がるか分からない脚本が好きなのですがKKPは比較的落ちが想像し易く、今回もそうだったのは残念でした。音楽とは合っていたしああ言ったぶつ切りの終わり方は好きなので良しとしましょうか。何時もちょっと良い話に仕立てようとして失敗している気がしてならないので下手なヒューマニズムがなかった事も良かった。
気になったのは所謂笑いの面、久ヶ沢さんに頼ってる傾向が過ぎると思います。仁さんいないと笑いの瞬発力(…と言いますか)が一番あるのは久ヶ沢さんだと思うので仕方ないですが、その所為か久ヶ沢さん毎回同じキャラだし。もう小林賢太郎は足向けて寝られないですね。
後、思ったのが「小林賢太郎はやっぱり出たがりなんだなあ」でしょうか。何時も出ないと言って実際に出なかったものがない所からもそれは伺えます。KKPで は仁さんを主役(級)に据えた脚本を書く癖に何だかんだで美味しい所は取っていましたし。とうとう今回は自分主役と言う事で、非常に楽しそうではありました。演技力云々は私には分かりませんがまあ本人楽しければ良いんじゃないですかね。投げやりでしょうか。
非常に深読みしたがりなので「蟻は自分が700倍の重さを運べる事を自覚しない」が繰り返されるのは実は春日説が正しいからかと思ってしまいましたよ(笑)。それはそれで良し。名前も茎太郎・駿菊・梅衛門・桜太・蓮司と天城だけ仲間外れだから何か意味があると思ったのになあ。
そう言えば椎名林檎の曲が3曲程しか使われていなくて意味あるんだろうかと思いました。劇中もそんなに音楽は使われないし。何処かの煽り文句に「椎名林檎ファンも必見!」等と書いてあったので曲目当てで来た人が若しいるのであれば金返せと言いたいでしょうね。オープニングも百色眼鏡の継承なのですが、笑い中心の劇中との違和感がどうにも拭えませんでした。それと音楽と、百色眼鏡の前夜的な設定である以外、別に「百色眼鏡」である必要はなかったのではないかなあと思います。
セットの素晴らしさは相変わらずです。ニイルセン偉い。図書館と言うだけでも私の心臓を鷲掴みにすると言うのに全部に図書館シールが貼ってあると言う芸の細かさ。良かったです。フライヤーのスカした写真は何とかならないのでしょうか。白黒写真で視線外しって何処の脱ビジュアル系アーティストでしょう。でもフライヤー及びポスターのデザインは可也好きです。相変わらず美術面では物凄く良いのに肝心の内容を手放しで褒めちぎれないのが悲しいです。何だかんだ言って、きっと次回も見に行ってしまうのでしょうが。駄目な男と縁を切れない女の様に(笑)。